ドレミができるようになったら練習するのに適した簡単な曲を紹介しておきます。
初めての曲は「タイ式楽譜」のところで少し触れたラーイ・ポンランがうってつけです。 実際タイでイサーン楽器を習う時に最初に覚える定番の曲です。
以下はラーイ・ポンランのタイ式楽譜です。
ลายโปงลาง | |||||||
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---ม | -ซ-ล | -ซ-ล | ---ล | ---ร | -ด-ล | -ซ-ล | ---ล |
---ด | -ร-ม | -ร-ม | ---ม | ---ล | -ซ-ม | -ร-ม | ---ม |
---ม | -ซ-ล | -ซ-ล | ---ล | ---ร | -ด-ล | -ซ-ล | ---ล |
---ซ | -ม-ล | -ซ-ม | ---ม | ---ด | -ร-ซ | -ร-ม | ---ม |
---ซ | -ม-ล | -ซ-ม | ---ม | ---ด | -ร-ซ | -ร-ม | ---ม |
-ม-ร | -ด-ล | -ซ-ล | ---ล | -ม-ร | -ด-ล | -ซ-ล | ---- |
速度はゆっくり、音を途切らさないように一音々を長く吹きましょう。まずは拍子の一拍目で息を 吹くことを基本とします。通常の楽譜には有りませんが、ここでは息を吐く場所にアンダーラインを入れてあります。完全に覚えてしまうまで何度も繰り返しま しょう。
以下は同じくスタンダード曲として有名なラーイ・トァーイコーンです。
ลายเต้ยโขง | |||||||
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---ล | ---ซ | -ม-ล | ---ซ | -ด-ล | ---ซ | -ม-ล | ---- |
---ล | ---ซ | -ม-ล | ---ซ | -ด-ล | ---ซ | -ม-ล | ---- |
-ซ-ม | ---ร | -ด-ม | ---ร | -ซ-ม | ---ร | -ด-ล | ---ด |
-ร-ม | -ร-ด | -ซ-ล | ---ด | -ร-ม | -ร-ด | -ซ-ล | ---- |
同じように息を吐く場所に印を入れてあります。 この曲は慣れたらどんどん速度を上げていっても良いでしょう。 疲れるまで何周でも演奏してください。
イサーン楽器で演奏される曲で現在スタンダードとなっているものは無数にありますが、それぞれ の土地で発生して長く受け継がれてきたもので、そのほとんどが作者不詳です。
基本的には土地の歌から来たものと自然を描写したものに分けられます。例えば最初のラーイ・ポ ンラーンですが、「ポンラン」は現在ではイサーン楽器の木琴を意味しますが、元々は牛の首につける青銅の鈴のことで、この音は非常に遠くまで聞こえるそ うです。この音に演奏家が感動して牛のキャラバンを描写したのがこの曲であると言う説があります。
二つ目のラーイ・トァーイコーンの「トァーイ」は歌のリズムと旋律を意味します。つまり土地の 歌がその起源であるということになります。この曲のメロディーはタイ全土で親しまれていて、もはやイサーン人独特のものでは無いと言われます。
元々それぞれの土地の文化と共に発展してきたイサーン楽器ですから、スタンダード曲を知ること が重要ですが、実際のケーン奏者などの演奏ではアレンジされ過ぎて元のメロディーを把握するのはほとんど不可能です。 個人的には、むしろスタンダード曲を知るのにはポンラン楽団の演奏やCDを聞くのが良いと思います。 様々なイサーン楽器がユニゾンで演奏するのが普通のスタイルなのでメロディーの原型が把握しやすいからです。 筆者はポンラン楽団に入った為、自然に数多くのスタンダード曲を覚えました。 機会があれば楽団に入るのが最も効率的だと思います。
上記でケーンの独奏に触れたように、独奏の場合は原曲が同じでも実際に演奏される旋律は各演奏 者によって大きく異なり ます。また同じ演奏者でも演奏の度に旋律が異なるのはよくあることです。
先ほどのラーイ・トァーイコーンの場合の一例を見てみます。
ลายเต้ยโขง(ขยาย)拡張の例 | |||||||
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---ล | --ลซ | ลมซล | -ดลร | -ด-ล | รลดซ | ลมซล | -ดลซ |
ลด-ล | --ลซ | ลมซล | -ดลร | -ด-ล | รลดซ | ลมซล | -ดลร |
ดลซม | ลมซร | มดรม | -ซมล | มซลม | ลมซร | มรดล | --ลด |
--รม | ซมรด | -ท-ล | -ท-ด | -ร-ม | ซมรด | -ท-ล | ---- |
これはある日、ある演奏家が演奏した一例ですが、もう一度吹くとまた違った結果になります。メ ロディーの拡張は、丁度ジャズのスタンダードの演奏を楽しむのに似ているかもしれません。
逆にメロディーを縮小することもできます。音がごちゃごちゃしていると感じたら減らしても良い し、難しくて追いつかないから減らす、というのも有りです。
2006/09/06 Last modified.