タイで楽器を習う時に使われるのがタイ式楽譜です。中部地方の楽器でも、イサーン地方の楽器でも、これが最も一般的です。 独学する場合もこれを知っていれば本に載っている曲のメロディーが理解できます。
例えばイサーン楽器を習い始めて最初の頃に覚える曲「ラーイ・ポンラン」は五線譜だと次のような曲です。
これがタイ式楽譜ですと以下のようになります。
---ม | ซลซล | -ล-ร่ | ด่ลซล | -ล-ด | ... |
読み方ですが、枠の一つが一小節、そして枠の中に書いてある文字の一つが一拍に相当します。
ここでちょっとややこしいのが、枠の最後の文字が拍子の一拍目に相当することです。最初はちょっと戸惑うかもしれません。
それぞれの文字と記号には以下のような意味があります。
記号 | 意味 |
---|---|
- | 休符または前の音の延長 |
ด | C ドの音 |
ร | D レの音 |
ม | E ミの音 |
ฟ | F ファの音 |
ซ | G ソの音 |
ล | A ラの音 |
ท | B シの音(ティと読む) |
ด่ | 高いC ドの音 |
ลฺ | 低いA ラの音 |
[ ] | 囲まれた場所を繰り返す |
つまりドレミと拍子の区切りしか無い、非常に単純な楽譜です。各音階の文字はタイ語でドレミを書いた時の子音から来た物です。
このようにきちんと枠がある場合は一つの枠が一小節に対応していますが、そうでない物もあります。
例えば、
มซลซล/รดลซล/ดรมรม/ลซมรม |
のような、メモ書き程度の物です。この場合は小節単位ではなく、メロディーの切れ目で区切ってあります。
タイ式楽譜は、最初はとっつきにくいですが慣れてくると意外と使いやすいものです。 例えばタイで楽器を習うと、やがて口頭でメロディーを伝える場面が多くなりますが、そのときに書き留めるのが非常に楽なのです。 なぜかというと、各ドレミの文字が全部一筆書きできるからです。 とりあえず普通のノートにメロディーを素早く書き取って、小節の分け目を線を区切ってしまえば楽譜の出来上がりというわけです。 反面細かな表現は全くできません。一音の長さや、連符などは各自で工夫して書くしかありません。
2006/08/30 Last modified.