イサーン楽器ケーン

ケーン ケーンはタイのイサーン地方(東北部)の風土音楽で昔から使われてきた楽器で、現在でもモーラムやポンラン楽団などのコンサート、または様々な行事で見る機会があります。

写真は自宅のケーンですが、竹でできた変な形をしています。 フリーリード楽器と分類されるそうで、吹き込んだ息で金属の薄い板を振動させ、竹の管で拡声する仕組みです。 ハーモニカと同じように、息を吹いても吸っても音が出ますが、一つの管は一つの音階しか出ません。 それぞれの竹の管には指穴があって、これを塞いだところだけ音が出ます。 構造的に、なぜ指穴を塞いだところだけ音が出るのかは参考文献の笙のページを見てください。

タイ国内での産地はコンケンやナコンパム、ロイエトなどが有名で、最近ではOTOP(一村一品運動)の製品として、ピンなどの他のイサーン楽器と共に販売していたりします。

右側はどこでも手に入りやすい量産品で、ナコンパノム産と言われていますが、本当のところはわかりません。 全体に少し大きめで、大きく太い音がします。 指穴の間隔が広いので、指を大きく動かす必要があります。 量産品ですから価格は安いですが、一部の管にはリードを2枚使っていて、こった作りになっています。

左はロイエトの職人が作ったもの。全体に小ぶりですが「胸」の部分(手で抱える場所)は右のタイプより大きめです。 小さい分繊細な音がします。完全受注生産で納品まで数週間かかります。

どちらかのタイプに慣れると、もう一方に持ち替えた時に違和感を感じます。個人的にはやはり小さめのタイプがお勧めです。

ケーンの由来

ケーンは非常に古くからある楽器の一つで、二千年以上前の遺物からも発見されているそうです。 様々な民族に伝播して、日本では笙(しょう)がその子孫であると言われています。 もともとは発生地も呼び名も一つであったと考えられていますが、現在は各民族により呼び名は異なります。 タイではケーン(タイ文字は แคน)、 メオ族はゲン(เก้ง)、中国の一部ではチャアン、朝鮮ではセーン、日本では笙(しょう)などです。 あるいは各民族の楽器の音の認識の仕方に沿って呼び名をつけたという説もあります。 例えばその音は、イサーン人には「ゲーンレーンゲーン」または「ケーンレーンケーン」などと聞こえるそうです。 タイには発明者が発明したときの伝説が有ったりしますが、確かなことは分かりません。

ケーンの種類

竹管の数により、ケーンにもいくつか種類があります。

構造

図は最も一般的なケーンペーット(8対16本のタイプ)です。

構造図 主要な部品と役割。

リードの写真

竹を引き出しすとリードが見える。リードは技術が無ければ自分で掃除したりするとトラブルの元となります。

ケーンの製造法

  1. 土地の人は山から竹を切ってきてケーン職人に売ります。 ケーン職人はこの竹を乾燥させ、節を抜き、使いたいまっすぐな部分を選びます。

  2. リードは鉄職人が真鍮、銅、銅と銀の合金などを打ってケーン職人に渡します。 ケーン職人はこれを更に打って薄くし、リードとして使えるサイズに切り、竹の穴の隙間に挿入します。

  3. 「胸」はプラドゥという種類の木や黒漆の木から作ります。 プラドゥの木なら刃物で加工しやすいことから根の部分がよく使われるそうです。 ノミで中心をくり抜いて竹を刺す場所を作ります。これは吹き込んだ空気の通り道でもあります。

  4. 竹を装着したらキースートと呼ばれるヤニで隙間を塞ぎます。 キースートは土地の人が「メーンノーイ」または「メーンキースート」と呼ぶミツバチに似た虫の巣から取った原料を煮るなどして加工したものです。

2006/09/06 Last modified.